「一曲も歌い切れない。こんな不作法なステージになってしまい、すみません」。知名定男が泣いた。25日、沖縄市民会館で開かれた芸歴55周年記念リサイタル「島唄百景」。好きな酒も断って臨んだ、歌い手として最後の舞台だった。「最後の舞台だというのに、神様は冷たかったなあ」。本番終了後の楽屋、じっと中空を見詰め、悔しさをにじませながらつぶやいた。
↧